| 新人杜氏の集大成 「 山廃仕込純米大吟醸 」 |
| 2005/04/13 上槽が4月3日に終わり、皆造となりました。あ〜やれやれ 最後の仕込は新人杜氏としての集大成「山廃仕込純米大吟醸」でした。 1月24日に酒母麹造りをはじめて4月3日までお世話したことになります。 1月28日〜2月25日までが山廃酒母の期間です。 2月25日〜4月3日までがそのモロミの期間です。 今回はその「山廃仕込」と呼ばれるメインの「 山廃酒母 」の期間1月28日〜2月25日までを紹介します。 長い文章が続きますがおつきあいのほどよろしくお願いしますね。 ここでちょっと復習・・・ 「山廃酒母」とは 蒸米+水+麹 で約13日ぐらい空気中の硝酸還元菌と乳酸菌を取り込んで育成 淘汰の過程を経て清酒酵母を添加 それからさらに約15日ぐらいかけて完成、モロミへ(モロミは約30日) この前半の13日間がクセモノ!低温を保ちつつ目的とする成分に促すために 香りの変化など五感が大きな判断基準となります 失敗すると恐怖っ!野生酵母の巣に!! では、はじまりはじまり〜 <仕込み> 1月28日 午前気温9℃、午後14℃(非常に暖かい)
<打瀬> 1月29日〜31日
この3日間の目的は野生酵母の繁殖を抑え硝酸還元菌、乳酸菌を繁殖させてあげる準備期間 この期間は地方によって長さは違うそうです 目標温度は6〜7℃ 仕込と同じく高くてもダメ低くてもダメ この3日間、うちの蔵ではよっぽど寒くない限りは 冷温機に氷と水を入れて品温を下げ続けてあげないと すぐ6℃なんか越えてしまいます
それなのに、なんと気温が午後には15℃まで上がる日が続きピーンチ! 氷が溶けては追加し、蔵の窓を全開して タンクに夜風をあてるのも効果ありなので今回も窓全開 さらに扇風機でタンクに風をあてました 一見、夏の風景です 同じ瀬戸内、香川県で山廃仕込をやってる蔵は 打瀬はタンクを冷蔵庫にいれる言っていましたが なるほど納得 <前暖気期間> 2月1日〜2月9日 「暖気」(ダキと読みます)とは「加温」のことです。 この期間の目的は麹の糖化を進めるために「暖気=加温」しつつ、野生酵母の繁殖を抑えかつ硝酸還元菌と 乳酸菌は繁殖させないといけないので低温で保ちます。何を書いてるのか自分でもよくわからなくなってきました。 皆さん想像力でがんばって読んでくださいね。 作業は80℃ぐらいの湯を暖気樽(うちは冷温機と併用、タンクが小さいので)に入れタンクヘそのまま入れます。 10分・15分・20分・25分という間隔で暖気樽をまわしながらタンク中にまんべんなく置きなおします。 この作業によって暖気樽の表面1〜2cm(暖気肌といいます)のあたりが、麹の糖化酵素の最適温度50〜60℃に なります。糖化を十分させた後、暖気樽をタンクから抜きすぐ櫂入れすると乳酸がでにくいそうなので1時間ぐらい そのまま放っておいて櫂入れします。 当然最初より品温が上がってしまっていてそのままだと野生酵母にねらわれてしまいます。 だからこの前暖気期間は暖気樽を抜いたあと10℃以下になるように注意し、必要なら冷温機をいれます。 これを毎日します。
前暖気期間中は酒母造りの中で一番、五感が必要でした。 特に香りはカビっぽい香りから甘くすっぱいような香りに 変化します。このすっぱい香りがでないと十分乳酸菌が 繁殖できてないので 初心者の私としては毎日タンクに頭をつっこんで 「まだか、まだか」と心配で心配で顔色の悪い日々 2月5日には明らかにすっぱい香りに変化して もうその日はうれしくてニコニコです。 見たカンジも糖化によってトロトロになってきて 表面がのっぺりとした”鏡ツラ”になってきます。 味の変化も大事です。最初はただうすく甘いのですが糖化によって徐々に濃い甘さになり 香りの変化とともに酸を感じるようになります。 硝酸還元菌と乳酸菌が十分繁殖し、もうこれで野生酵母の入る心配は減りました。うふふ。 目に見えないけど頼もしいです硝酸還元菌と乳酸菌!
前半の4日間は気温が10℃以下の日が続き作業しやすくラッキーでした。 特に2月1日は正午すぎから−2℃まで下がり 瀬戸内海気候の愛媛県では 今年一番の冷え込みだったのではないでしょうか? <清酒酵母添加> 2月9日〜10日
そろそろ香りも味もしっかり変化してきたので酒母の濾液をとって次の3点を検査します。 @ボーメ(比重によるブドウ糖などのエキス分)測定をして 糖化が十分できているか? A酸度がしっかりでているか? B亜硝酸がなくなっているか? (この時期になると硝酸還元菌は淘汰され亜硝酸はなくなります) ベテラン杜氏ならだいたいわかるのですが 新米としてはさっぱりわからないので試験紙を購入
以上が満たされてないと清酒酵母を添加しても予定の個数まで増えてくれません。 分析結果、OKなようでしたので 1週間まえぐらいから拡大培養してあった酵母を この日と次の日の2日間、添加することに決定 (たくさん添加したほうが安心なので)
そうそう、ここで篠永酒造で一番バイオな部屋とされる 培養室をご紹介! なんと室内の壁は白壁の培養室、たまに壁がはがれてたり なんというか、うーん…さびれた? いえいえ、趣のある培養室です(←フォロー)
添加前に 清酒酵母の好きな温度(14〜16℃位)に 暖気樽で品温を上げ タンクの周りにマットをまいて 外気によって下がらないようにします 準備が整うと酵母を添加します 添加と言っても 酵母をいれて櫂でまぜるだけなんです おっ!私の力強い腕が写ってますねー ![]() ![]() ![]() <膨れ誘導> 2月11日〜13日 この間は1日ごとに暖気樽で温度を上げていき清酒酵母の繁殖を促します。約18℃ぐらいまでOKです。 <膨れ> 2月13日 分析によってボーメ(比重によるブドウ糖などのエキス分)が17.0を示し、酸度5.6 になり「膨れ」とします。 見た目酒母の表面が少しもりあがってきます。暖気樽で温度が下がらない注意します。 これからは清酒酵母の増加、発酵がさらに盛んになり(糖を栄養分とするため)ボーメは下がりはじめます。 <湧き付き> 2月14日
表面に清酒酵母の出す炭酸ガスでブクブクアワアワになってきます ガンバレ!ガンバレ! この日は寒くて暖気樽で 温度が下がらない注意します <湧き付き休み> 2月15日〜18日 ここまでくると自分が出す発酵熱で品温が下がりにくくなり暖気樽を入れる必要がなくなります。 「留め暖気」といいます。約20℃ぐらいまで上がります。上がりすぎも酵母が疲れてしまうので要チェック! <分け> 2月18日・夕方
清酒酵母の増殖、発酵によってボーメが 8.8まで下がり酸度10.3まで十分でました これ以上この温度で進ませすぎると 清酒酵母自体が衰弱し死滅しだすので 温度を下げて休養させるのを「分け」といいます タンクにまいてあったマットをはずし 冷温機に氷を入れ10℃ぐらいまで下げます <枯らし期間> 2月19日〜24日 「分け」で一旦、品温が10℃ぐらいに下がった酒母はよっぽど外気が暖かくならない限り静かに休んでくれます。 でも生きていますのでゆっくりとボーメは下がっていきます。 <酒母下げ> 2月25日 とうとう最後の日がやってきました、バンザーイ! ボーメ6.0、酸度10.7、山廃酒母の成分としてはバッチリです。 私の頭の中にはなぜか ”蛍の光” が鳴ります。ここまでよく育ってくれました、ううっ卒業やね・・・感涙! などと私一人が思ってるだけで専務と一緒に淡々と酒母を本仕込みのタンクへ移動させます。 このタンクの左に写ってる黄色いタメに20Lずつぐらい入れて大きなタンクに移動です。
この作業を「酒母下げ」といいます次の日からその酒母の入った本仕込みのタンクに 仕込水と麹と掛米をさらに投入し(3段) モロミ期間に入ります
ここまで書いて、ただいま暗い蔵のパソコンの前で再び一人で感動してます。大丈夫かしら私・・・ 酒母タンクの場所にミニコンポがあるのですが この期間、よく佐藤杜氏も長丁場リラックスするために 音楽を聞いていました(なんと演歌からベンチャーズまで!) 私は見かけによらず洋楽が好きなので お気に入りのCDを同じようにそのコンポでかけながら 毎日プレッシャーも重かったけど 今思うと楽しかったような気もします。 とりあえずうまくいってよかったです! 次回はモロミの期間について報告しますね |